病院の音楽にはどんなものが向いているか音楽療法の観点から解説

病院の音楽には
どんな音楽が向いているのか?
という部分に関して

音楽療法の文献を参考に
自分の体験を交えて
お話ししています.

漠然とイメージがありながらも
効果が明確に理論的にも
釈然としない方は

ぜひ最後まで
お読みください.

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病院の音楽にはどんなものが向いているか音楽療法の観点から解説

それでは、行ってみましょう!

まずは今日の
一曲からですね!

再会 (病院バージョン)

さて今日は
音楽療法の文献から
病院の待合室などには
どんな音楽が最適なのか?
ということを

精神科で統合失調症の治療を
受けている私の実体験を交えて
お話ししてみようと思います.

今日ご紹介する文献は
以前もご紹介した
馬場存先生の

音楽に癒され、音楽で癒す
ーー音楽療法と精神医学/音楽創造

という本になります.

Amazonのリンクは
こちらからどうぞ.

https://amzn.to/4pumdpB

こちらの本から
引用させていただきつつ
進めたいと思います.

病院で流す音楽としては
明るい音楽がいいのか
暗い音楽がいいのか

または
どんなジャンルや傾向の
音楽がいいのかは
悩むところですよね.

1つ参考になりそうな
文面がありそうなので

こちらに引用させて
いただきます.

村井によると、気分が転導してゆく入り口では,有名な「同質の原理」が動くとします.音楽を享受する人の感情と音楽の感情との一致が生じ,その一致によって対象者は音楽に引き込まれてゆく.しかし同時に,音楽は必ずしも同じ気分だけを持つとは限らず他の種類の気分も存在するので,音楽体験の中で自然とその気分に同化するとされます.哀しげに始まって明るく終わる音楽(たとえばモーツァルトのピアノ協奏曲第20番など.もちろん他にもたくさんあります)などは、そこに没頭しているうちに何らかの気分の変化が生じて、終わる頃には聴き始めた時とはかなり違った気分になっていることが多いでしょう.

上記P40より

音楽心理学者マイヤー(Mayer著,大串監訳,1998)は、まず感情の一般理論として「将来のコースがわからない状態が始まると、明らかにしたいという心理的傾向が生じそれが感情になるが,その状態が続けば人は疑いを持ち,確信のない状態へと投げ込まれ」「不安,恐怖をすら感じ始める」としています.そして「音楽で経験する不安による緊張は,実生活で経験するそれらと非常によく似ているので,力強く,効果的に感じられる」ことを指摘した上で,「日常の経験では傾向の抑制によって生じた緊張は解決されず,無関係な出来事の洪水にまぎれてしまうが,音楽ではその傾向は解決され,結論を出す」と述べました.すなわち音楽は,さまざまに変化しながらも最終的に和声的な解決に至ることで,不安や緊張を解決するとしています.音楽による気分の転導が良い方向にもたらされるとすれば、このような機序も関わっているのでしょう.

上記P40,P41より

なお,「同質の原理」とは反対の「補償の原理」という仕組みも知られています.シャウプらの研究によると,被験者に「最もよく理解してもらえると感じる」音楽を選んでもらうと,攻撃的な気分にある人は平和な音楽を選び,疲れた人や悲しい気分の人は生き生きとした活気のある音楽を求めたとして,「同質の原理」とは反対の結果を報告しました.両者を視野に入れて検討したマイスターす(Smeisters,1999)はどちらの原理も存在し、それらは元々の気分や聴き手の人格特性などに左右されるとして,音楽に対し投影を求める場合はテンポの遅く暗い哀しげな曲を選び(同質の原理),悲しみをコントールしたいという欲求があると中立的な性格を持つ音楽を好み,悲しみに抵抗したりそれを抑圧したい場合には強烈で攻撃的な音楽を好むなどの,さまざまなバリエーションが見出せたことを報告しています.

上記P41より

これらを全体的にながめて考えてみますと,おそらく,比較的エネルギーがある場合には,最初から,同質ではない,自ら転導させたい方向の気分をもつ音楽を選ぶ(補償の原理)ものの,よりエネルギーが落ちて,音楽に対して支えを求めたいときには,同質の原理を想定して選曲するとうまくいくということかもしれません.

上記P41より

少し引用が
長くなってしまいましたが

注目したいのは
「補償の原理」で語られている
シャウプの研究の部分です.

攻撃的な気分にある人は
平和な音楽を選び
疲れた人や悲しい気分の人は
生き生きとした音楽を求める

ということで
やはり病院でUSENの
オルゴールのような
明るい曲がかかっているのには
意味があるのだなと感じます.

私が病院で聞いた音楽の中で
一番印象的だったのは
一青窈さんのハナミズキの
オルゴールアレンジだったんですが

統合失調症の患者さんの場合は
即興的な音楽療法よりも

耳馴染みのあるその人が
好きな音楽というのも
聴取の際の大きなポイントになるようです.

ハナミズキのような
明るいイメージで
我慢が実を結ぶというような
作品の雰囲気は

病院にもとても
マッチしているのかもしれませんね.

病院さんの音楽としては
明るく未来が想像できるような
オルゴールのような音楽が
向いていそうかなと思います.

私も普段は
病院さん向けのオルゴール作り
フリー音源として
公開しております.

こちらから
ご覧ください.

https://soundescape.info/hospital

音楽療法や音楽心理学の文献は
とても勉強になるなと
思いました.

今後もこちらのブログでは
こうした内容の情報発信を
続けたいと思います.

それでは、今日はこの辺で.
いつもお読みいただき
ありがとうございます.

また明日です!

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